感想ってことじゃないんですが。

40年近く車田マンガ見守ってきた派としては、今さら、言うべきことなど何もない。気はするんだけども何となく。インデックスに書き損ねた話だけ、多少。  

…多すぎた汗。


リングにかけろリアルの「順と殉」

後で知った。古本で買った。ちょっと感動した。むしろ、こんなの描いてくれようとしてた事実に。当時のジャンプじゃ合わないから却下されそうだけれども。影道編のアニメイントロで一部使用するなら、このままアニメ化して欲しい。どっか回想にねじ込んでいいから。

と思うくらいは、珍しく、この作者にしては、主人公サイド以外のキャラの心の奥まで描こうとしてくれてた感じする。でも難しいんだろうな作者的には、おそらく自分の中にいないキャラだから総帥とか、掘り下げるの。とはいえ、

テーマ、兄弟愛でシンプル。オレの女に手ぇ出しやがってとか弟なんて邪魔とか順風満帆な兄に嫉妬する弟とか、よくある陳腐な展開にするのかと思いきや、ただ純粋で可愛い兄と弟に落とす車田。オトシマエつけると影道に乗り込んだ剣崎が、弟の顔見て泣いて帰っただけってか二人で泣き合ってる話。


で。リアルで、いまさらリンかけ秘話とかオイと思いながら、一応、全部読んだ。ほぼ想定の範囲内で、あまりビックリもしなかったんだけども、剣崎が飛ばされた国旗の角度がありえないのを気にしていた作者にちょっと噴いた。……いやそんなとこ気にするなら、もっと気にすべきとこ満載すぎてどうすれば…というのが大方の感想のような…

外国人が描けなくて困った…てのも、いやでも日本人だってリアルには描いてないわけで…剣崎は財閥のお坊ちゃんじゃなくて、東京下町感覚だろ。と突っ込みたくなるけどもそこ突っ込んだら負けの世界。って気がする。

ちなみに秘話で推してたヘルガの物理方程式について。大昔、東大数学科の連中とリンかけ話に盛り上がってたとき、あの話が出て。もうね、フツーに理系やってると思いつかんわな、あんな滅茶苦茶な理屈。ってコメント多数で、まあ、そこが車田マンガの良いところ。と未だ信じてる、大真面目なギャグ漫画イメージ。多分アレは早稲田か慶応あたりの集英社若手編集が持ってきたと推察してる。  


昔あったパイロットフィルム

星矢がこの世に出るずっと前、リンかけアニメ化の話があって。パイロットフィルムだけは造られた、けど一般公開、販売などはされず、セル画は某アニメショップでその後、バラ売りされていた。なんてことがありましたが、あの時、アニメ化していたらどうだったんだろう…。と今でも時折、思ったりする。

せめて風小次OVA化したときに一緒にやれば良かったのに。とか。あの当時、集英社がアニメタイアップで売る方針ではなかったので。発刊当時のジャンプを支えた世代の人たちは、随分、売り上げ貢献して頑張ったのに、テレビ化→大ヒットまで行けなかった不遇が。まだジャンプ発刊数が桁二つも低い時期。

だから男坂失敗で、もう割り切ってアニメ用に売る気で描いたって星矢がヒットして、センセイとうとう報われて良かったね〜と思ったんですけど。その後、売れ時狙って次々にアニメ企画あった時期、どうしてもリンかけは、ならなかった、というのは、コレ、とくに12神戦と阿修羅あたり、完全に星矢プロトタイプになってしまう、というか、ただ迫力とオリジナリティ劣化版の星矢として視聴者に受け取られる…ので、ダメだったのかも、という。

でも大人買い需要リブームでパチスロなんかになったりして、2004年以降、いきなりアニメ始めて。タイトル1だから2もやるんだろうか?とか。しかし本来、短編のはずの日米決戦を延長しすぎて、資本使い果たした気もしなくもない。アレ6話にしといて、世界大会を12話でやれば良かったのに…つっても結局、その時の、資金と企画の都合。要はタイミング。

なんか、リンかけ、って間が悪い、って気がいつもしてる。

もっとも、星矢のハーデス編も、アニメ化決定したバブル期の後、金の関係でお蔵入り。その後しばらく経ってから。みたいな流れだったんで。その展開もアリかもしれない。おかげで当時、まったく人気なかったカノンちゃんが、ハーデス編アニメ化して地上波で流れたら…サガカノなんて、ほとんどやってる人いなかったのに、今、結構いるじゃん、とか25年も経ってから思ったりするわけで。

最近そんなの多い、けどそれも一度売れたビッグネームに頼る、いわゆる出版不況の成れの果て…それはそれで問題だよなと思ってみたり。


リンかけ 2

イントロあたり読む限りでは、もろターゲット自分世代だよな?と思うわけですが。しかし、実を言うと、この世代、あの感覚は共感してないと思う。車田マンガのぶっちぎりファンタジー性みたいのに惹かれたわけで?むしろリアル派は、あしたのジョーに行っただろうし?しかも彼らはもう少し年上。

てのは、当時、周りで言われてたのは、「車田マンガって感覚が10年は古いよね」多分、我々の世代ではなく、作者自身の世代感覚で描いてるからだろ、と皆言ってたけど、年齢帯考えるに、正しいと思われる。

この10年はデカい。てのは、作者が生まれた頃、まだ日本は戦争の痛手から回復していない。戦後10年経ってようやく、有名な、もはや戦後ではない、が出るんだけども。まだ米軍のコッペパン1個や農家のコメ一升と伝家の掛軸交換したり、ぎぶみーちょこれーとの世界からあまり経ってなくて。愚連隊が跋扈してたり。つまり後進国の荒れた日本。

ところが、そこから10年経つと、高度経済成長期。という、日本が先進国へ成り上がるキャッチアップのちょうど瞬間に当たるわけで。そこで生まれた世代は、後半なら成人すると、バブル就職組です。お金持ち日本、東京の物価世界一、エコノミックアニマル、ジャパンアズナンバーワン。そんな世代。

そんなこんなで、貧困アジア日本→豊かな日本、になる、転換点。という隔絶した世界にシフトする。感覚が合わないのはむしろ当たり前。

我々の思春期って、暴走族は流行ってたけど。当たり屋とかは、もういない。そこまで困窮していない。どちらかというと豊かな飽食日本、保護された若者の問題点が現れ始めた頃。

つまり、初めて、中学生が集団でホームレスを襲い、殺したあげく、街のゴミを掃除しただけ、などと言って社会に衝撃を与えた。でもまだ、バブル以降の、趣味で人殺しとか、単純に死体を見たかった、とか、そんなのはいない世代。でもどちらかというと、後ろ世代の病に近いわけですよ先生。って知りつつもオレは時代遅れだが!これだけは言いたい!!とずっと主張し続けてる気がする。

熱血需要はある。最近も超次元サッカー売れてたし。アレ完全にリンかけノリだし、ベイブレードとかコロコロ系は未だそうな気がする。ただ、貧困、差別、ナショナリスト精神、ここらが前面に出てくると、かなり違う感じになるのかなと。

もっとも同世代にも現代人を拒否してるとか言われてるので(苦笑)何か別の理由があるのかもしれない。親の影響か戦後リベラルの反動か本人が子供時代に読んだ漫画の影響とか?横山光輝の作品には相当、影響受けてる感じしますよね普通に見てて。

率直に言って、戦前の世界、むしろ自分たちの親世代に近いんだよなぁ感覚が、と思ってる。戦後生まれのくせに。でも我々の世代をあえて描こうみたいな?とはいえ本人、健全すぎて現代の精神病思考は多分ホントに理解は出来ないんじゃないかと思うけど、頑張って色々調べて描いてるなと思う。

黄金の日本ジュニアって設定的には、モロ我々と同じ年齢帯じゃん〜となるんだけど。やってることは旧日本軍イメージなんだよな。なんでそこまでズレるんだろう?憧れ?幕末とか好きだし。武士とか特攻隊みたいのが好きとか。てのは昔からの疑問。

ま、でもそんなんで。自分らの親や、祖父母世代の言い草と総帥たちの説教っぷり、やってることが、きわめて似てて噴いた。ああ、わかるわかる。そういうことはある、でもね、みたいな。(いや祖父母って明治中期くらいですからね汗)

まぁ親って子供にとって高い壁として立ちふさがる、みたいの表現したいから、ああ描いてただけかもしれないけど。でもそれも最近の、友達親子問題とは違うもんな。昔の親感覚。我々の世代が親になると、どちらかといえばモンスターペアレンツやら友達親子やらになってしまうわけで。それはそれで新たな問題発生なわけですが。そこらへんに対しても説教したかったのかもしれないけど。

もっとも2では、ジュニア世代=我々世代だろうから。リアル感あるかも1よりは。だいぶ研究して描いた感じする。てか車田サンも裕福で余裕が出てきたから、我々世代のアホな気持ちが少しわかってきたのかもしれない笑。と思ってる。


しかし。青年誌とは何か?の部分は、感動した。まだこんなパワーあるのか、ぜひ頑張ってくれとかマジで思った。あの意見は全面賛同。そう、エロと情報とやらに踊らされるメディアどもの口車に乗らず、ぜひ戦い続けて欲しい。なんてヤオイ描きが言っても説得力皆無だけどな!苦笑。

もっとも、青年誌に描いてただけあって、珍しくフツーに理屈通ってるわと色々思った。でも昔から中味もボクシング自体も基本は普通なんですよね、その当時言われてたこととか、技も試合運びも。そこから自己流に崩してるのはよくわかる。ま、ルール無用かと思えばいきなり、アマチュアルールでとか出てくるから、え?あったの??とかビックリするけど。

ドイツの物理公式の元ネタは進学校の高校受験レベルから大学受験レベルにランクアップしていた。もっとも電子スピンて…え?…あの電子スピン??昔、受験参考書で見たアレと同じ電子スピン??!!とか思ったけど。

ま、でも2って、最初のリンかけの、なぞりっていうか。解説本みたいな。しかもそこに、作者の心境変化が(笑)投影されてるっていう。若い頃はそうは思えなかったのに、今ならこう言えるんだろうな、というあたりが。今比べて見ればですけど。昔のはフツーに楽しんで見てただけなんで。

リンかけは昔から、いきなり変な後付け設定出るの普通で、唐突に、何これぇ?!みたいのばっかりだったんで。ファンロードにリンかけクリニックというコーナーがあって。そこで、リンかけの数々の謎を解明しよう!みたいな。そんなファンが大勢集まるほどは、フシギの世界で突っついて遊ぶのが楽しい漫画だった。でも作者の意図は、本当は違ったんだろうなと今となっては思いますけど汗。

総帥はアテナとシャカを足して二で割ったみたいなキャラになってて、影道はどうなってるんだろうってか影道ってこんなだったのかよ、とか色々面白かった。1より好きかも作品的には。ハマったのは最初のですが。はるか昔。でも今もハマってんじゃないのかな。

つか昔は、ご多分に漏れず、リンかけや風小次のためだけにジャンプ買って、買ったらそこだけ切り離して、後は読まずに潔く捨てた。神輪会の内輪ネタも買った。熱情の楽譜買って練習もしたしジャンプ通販でパワーリスト買おうとか。実家の蔵探せば出てくるハズ。武蔵VS小次郎の少年ジャンプ初オールフルカラーは3冊買ったし雷鳴のザジは綺麗に表紙つけてクリッピングってすごい入れ込みよう。でも当時、マンガはほとんど読まない派だった。今もあまり読みませんけど。

もっとも車田マンガは、どれも一緒じゃん?感覚。どれが嫌いで、どれが最高ってのも無い。青年誌にエロ描いてたときはさすがに…合わないことはやめたほうが…と思ったけど。だって全然、女の裸や男性キャラのセリフがエロくない。淫猥なエロさが無い代わりに無理やり頑張ってエロくしようという努力は見えた、みたいな。エロ需要なら、普通に青少年描いてるほうが天然でやたらエロいしね苦笑。

出版屋は一律に、成人エロ強制するより、その作家に合ったもので押したほうがいい…と本気であの時は気の毒に思った。

しかし昔より作者の、精神の許容範囲、広くなってんじゃん?とカナリ思う。思い込みや誤解がわりと軌道修正。年齢のせいでしょうけど。若い頃はこう考えたんだろうけど今は違うんだろうな、っていう。そこらへんで、デジタル版にしたとき修正したりもしてんだろうけど。時代にあまりにも合わなくなったとことか。

昔のほうがギリギリ精一杯でそこが面白かったとか尖がってたとこや、偏ってる感あって、インパクトあったとか。そういうのは、あるかもしれない。でもまあ、成熟したオトナ感覚も悪くはないんだろうな。好みとしては、大人感覚、いいですけど、いや昔のはもう真面目に読むと、うわ、酷いな〜これは違うだろ〜というとこ多々。面白ネタとしてはいいけど。真剣に考えると、おいおい〜と言いたくなるとこだらけかも。でも青春だよね、このノリは、とか苦笑。

でもそこらへんが、ちゃんと、2では、変わってるんですよね、1と真逆なこと言ってる。あーそこ大人になったから許せるようになって、知識や経験の幅が広がったから勝手な思い込みや誤解がとけたのかい、っていう…

同じ作者でも年齢で変わるし、描くものなんて。若い頃の感覚はその時しか書けない。だってわかんなくなるから。そのわりには変わらないほうだよなと思うのは、一本通った中芯みたいなものが、変わらなくて。誰でもそうでしょうけど。ファンタジーだけど、己の精神世界から生み出してるからだろうな、と思う。

とくにリンかけは、作者の感情こもっててキャラに魂入ってる感がすごくする。車田節ってやつが、キャラの口からストレートに出てる感じ。ま、それが好きかどうかは、読者によるでしょうけど。

自分も今となっては、この人の敵側だったんだろうなぁ、と感じて少し淋しいような複雑な思いもありますケドも汗。


ブラックホール化してた蔵、探索

わりと見つけた当時のジャンプとか、ふぁんろーど。初版コミックも。ざっと今のと比べたら、かなり変わってて。ものすごく細かいとこまで修正入れてる作者の根性に敬服したけど、ごめん変えないほうが好きだった、ってとこもわりとある。でも変えたほうがいいよなってとこもある。

連載→コミック化までも当時は2年くらいスパンあったので。その間に、直すってのはわりとあった。でも全面改訂版が後から出てるので、さらにそこで直して。で、デジタル化したときにまた変更したのでは?みたいな。

すごいこだわり感じる。しかもやたら細かい。

初版コミックで、殉ちゃん、最初に高嶺と闘ったとき、血ィぼたぼた流しながら、「竜」って呼んでるのは、やっぱ「高嶺くん」に直したほうが自然だろうな初対面なんだしお兄ちゃんじゃないんだから。と思ったけど、阿修羅編もいくつか竜→高嶺くんに変更されてて、…このセリフ総帥だったのか!…今までずっと、志那虎か石松だと思ってたよ…と気付く感動。笑
逆に剣崎の「影道のあいつ」「弟」呼びは、すべて「殉」に統一されてた。それも良いかもしれない。双子が最初から馴れ馴れしくて。

頻出してた「フッ」は、相当、削られてた。あれトレードマークだったけど車田マンガの。まあ不自然だよね、ってとこを全面改訂したんだろうと思われる。表情も冷や汗だいぶ消されてて。語頭や語尾の震えなんかもかなり削ってあったり。逆に増やしてるとこもあるんだけども…メリハリつけようってことなんだろうな。と思う。

結果、すごく必死感あったとこが、わりと、さらっとした表現になってたり。逆にさらっと見えたとこが強調してあったり。矛盾してたとこが修正されてたり。日常エピソードが色々カットされたり。

河井くんが、石松に、自分はいつもワイン飲んでる、とか言ってるとこなんか、無くなってた。合宿の食事シーンなんか、かなり細かいエピソードになってたのに、さくっと全部なかった。そういうのわりとある。すごいページかけてたとこが無いなっていう。主に日常話で全体のストーリーに直接、影響ないようなとこかなぁ?でもあったほうが面白かったのにね、っていうような部分。削りたい気持ちはわかる。要らないだろって。無駄とか。でも案外、無駄ってあんまり無いんだけどなぁ読者的には。

作者は気になるだろうけど。矛盾、大爆発みたいなとこも、ご愛敬っていうか、そっちのがインパクトあって面白かったり。

時間あったら、全部、比較してみたいかなと思ったけど。あまりに一杯あって、ちょっと無理かと諦めた。それくらい大量に直し入ってる。ものすごく細部まで。むしろそのこだわりが意外に凄いかも?かなり言葉の隅々、てにをは、に至るまでこだわってるのが、ちょっと詩人か作家なみかと。

改訂版との違い、以下、ざっとだけ。

全部挙げるとキリないので。てかこんなん書いてる自分がカナリ暇だなオイ!と正直、思いました苦笑。


おおまか出版側の事情だろうなってのは、

版権に関わる部分。某アメリカ人イラストレーターのもろパクリ画の変更(でも腕の位置や得物を多少変えても、訴える気があるなら、すでに敗訴してると思…なんせ相手は版権狂と裁判マニアの米国民。しかも多用しすぎ)

キャラが歌う場面。石松と菊姉はかなり当時の流行歌を歌うキャラだった。でも別セリフにすべて変更。石松と河井がゲゲゲの鬼太郎話してるシーンも無かった…

あまりにも差別的なセリフ(オカマふっ殺せとか。ヘルガも石松にオカマ野郎と罵倒されてたけど、たいがい敵の美形キャラはそう罵られる)オカマという単語は、ほとんど削られていた。あんなに多用してたのに。でもLGBT差別コードに引っかかる以上に、作者のオカマに対する根源的なこだわりが変わったからかもしれない、とも思う。

気が狂ったキチガイ等NGワード系。黒人を黒んぼう、ニガー、とか。

ハーケンクロイツだけでなく、ヘルガの襟についてたSSマークも全消去、凄いよ、一つくらいうっかり残ってたら笑える、と思ったけどまだ見つかってない。何百ヶ所消したんだろう(アシスタントが!笑)。ナチス親衛隊のマーク的なもの全部消しても、あの制服が丸パクリすぎて、って気もするけど。ドクロを円にしただけだし。

実在の世界チャンピオンボクサーたちがたくさん登場、竜児や剣崎をスカウト狙い。ピンクレディもリング上で踊ってたり。あれらザックリ無かった。一部セリフだけ残してピンク娘とかにしてたけど。でも無くて良いと思…当時、流行ってましたが熱血スポ根ものに実在人物出すリアル演出。


こだわってるな〜ってのは…

わりと、そのキャラっぽくないとこ(竜児が石松に本気で「殺すぞ」と脅したり。「ウフッ」って笑ったり。ウフは可愛いけど笑。剣崎の可愛いセリフ、ギャグ顔とか)が無い。

剣崎が大会ルール変更するとき、親父がコミッションに関わってるから親父に言ってくれればいい、つってたのが、ウチに、とか。オレん家、って。親の存在、消去。コンコルドクラブ剣崎ジムができたのも、熱狂的ボクシングファンの一人息子のために、父親が金にあかして創ってやった設定だったけど、削除。元々、剣崎兄弟の両親は1コマも出てこないので。わずかにあった影すら排斥、…子供たちの孤独感、強調されて良いかもしれない。

前半リアル系エピソードの大半。それに、リアル地名やリアル施設名。だいたい建物は実在の場合が多かった名前もちゃんと入ってた。が、ほとんど消してあった。もっとも背景はたいがい実在…

人数、日付、伝説などの具体数値のカット(ドイツ軍団30万は2で3万に減らした都合らしい。年月日は矛盾したとこ削ってた。都大会は昭和52年5月15日〜16日だったけど、これだと高嶺の年齢がまだ10歳で小学生に。ちなみにシャフトと闘ったのも昭和53年10月のことだった初期設定。

剣崎の乗ったアメリカ留学時の飛行機は16時35分発ホノルル経由ロサンゼルス行JAL246便。河井の姉が越後長岡に帰った電車は、13時45分発 上越線 新潟行とき17号 上野発。これ今、新幹線だしな。ってかやたら細かいセッティング。
初代の影道総帥が明治22年生まれ、なんてのは、うやむやのほうがファンタジックで良いのかも。横浜で師範二人半殺し時期が7歳は若すぎるから?かもしれないけど)

実在名→オリジナル名(アポロエクササイザ―→ギャラクシアンエクササイザ―、パワーリスト→ドラゴンリスト)とか?ちなみにアポロエクササイザ―は使用で筋肉がボロボロになることは現実にはありませんとか注釈が前ついてた。

剣崎が初期にアポロ宇宙船、背負ってるのはアポロ宇宙飛行士と同じ器具で鍛えたから。そっからギャラクシー系スーパーブローへ行ったのだろうと思うけどもカットされると履歴がわからず、よりファンタジーに。

あと、KKK→白い悪魔とか…実在の人物名出してたし…こういうのは何つーか色々マズイというか人種差別ネタ、多いですね、当時だから。絶対、日本人はちっぽけな島国の黄色い猿とかイエローモンキーと言われる。そして白人に白豚と言い返す。


あちこちかなり、セリフは短くカット。あとセリフが入れ替わってたり、ページごと無かったり。でもギリシア12神戦で、セリフだけ変えて見開き丸ごと同じ絵ってとこあるんですけど。そこは描き直してなかったな。

総帥ファン的には、…高嶺、剣崎、影道総帥、の3名が日本最強、と紹介されてたとこは抜かれないほうが嬉しかった。この前の見開きが無いので、3人が立ってるページが丸ごと無い。殉ちゃん、顔の傷描き忘れ、革グローブのベタ塗り忘れ、だいぶ修正されてましたけど。笑

顔も、わりと口元描いてない絵が多かったんですが。他キャラが前向いてるときに、一人だけ俯いてたり下向いて黙ってるシーン多いんで。総帥って結構、顔、半分省略多かったのに、全部描き加えてあった。

いかにも寡黙な人って感じで別に違和感なかったですが描いてないの。あればあったで悪くもない。表情ついてるとこもあって、あ、口開いてる…とかココ笑ってたのか、とか。やっぱりあったほうがよくわかる。顔の傷は、改訂前は、かなり無い絵ありました。可愛いかったですケド忘れられてると絵的には。

一番、ビックリしたのは、総帥の笑顔かなぁ?

口元、目元、顔の輪郭が、ぜんぶ描き直してあった。最初で最後の、総帥の爽やか笑顔2カット分。正確には1.5カット分。

おかげで、自然に笑えてる…ココがどれだけ気になってたかというと初めて見た瞬間から何十年も気になるほど(それも何だかな汗)でも作者も気にしてくれたのかってのにちょっと感動。

殉ちゃん、大口あけて爽やかに笑うキャラじゃないから、ものすごい違和感で。というか無理やり少年ぽく笑わしてみたら、失敗したけどハッピーエンドにするためココは笑顔で!と頑張って描いたら歪んだ。って顔だったのが、可愛い笑顔になっていた。総帥、楽しそうで何より!ってなホントに心から笑う魂入った笑顔に。

冷や汗なんか、あったほうが良かったけどなと思うトコもある。お兄ちゃんに「あれほど来てはいけないと言ったのに!」と言ってるとことか。次のコマで「いずれはオレたちも闘わねばならない運命…」と言うお兄ちゃんも冷や汗流れてて、二人とも戦いたくない感じの嫌な緊張感あった。

はっきり総帥家に引き取られて家を継いだ、だったのが、影道の本陣前に捨てられてたニュアンスは、いかにも実力でのし上がったっぽくて、それも良いかも。
でも志那虎も、最初は、陰流を継ぐんじゃなくて、志那虎家を継ぐ長男だから親父にDVされてたんで。家を継ぐ発想が時代遅れだから?

総帥、高嶺くんたちにも最初は、君たち、ではなく、あなた方、と言ってたのが、改訂版は、「あなた」がお兄ちゃん専用語に。これでアナタ呼びは、兄以外、スコヘルとナポレオン、ビーナスに戦闘やめてとお願いするのに下手に出たときだけかもしれない。きさま<おまえ<キミ<あなた、が総帥の敬意ランキング。お兄ちゃんは全部、呼び方が「殉」に統一されていた…それも可愛い。

顔は、志那虎が後からだいぶ変わったので、後に合わせて修正してあった。初期は妖気漂う冷酷男。もみあげの形と、口が変わってた。前は、まっすぐでした、もみあげのとこ。あと口はもっと大きかった。それが全部、直してあった。菊姉は潰れ顔が面長美人に描き直してあった、かなり多くのシーンで。

呼び方は、河井と高嶺は、志那虎のこと、「志那虎さん」って呼んでたんですよね。呼び捨てになっていた。でも中1と2年が、3年の子にさん付けするのはむしろ普通かも笑。傍若無人な剣崎と石松は別として。もっとも高嶺は後から志那虎を呼び捨てにしてたんで合わせたのかもしれない。

カラー表紙はかなりあった菊姉のエロ画が全部消えて、爽やか綺麗な新絵に。今の8巻の総帥は、前の17巻だった。前の18巻も総帥で、これが阿修羅編の扉絵になってる今。殉ちゃん、瞳が赤かった、肌の色は普通で別に黒っぽくもコムギ色でもない。今の次ページはタイトル「剣崎参戦」で初版コミックには無い。でもあのつながりっていうか描き方っていうかが変更されたおかげで、…剣崎がなんで参戦したのか、心情的に、わかりやすくなった気もする。代わりにというか、阿修羅編の扉絵が、影道奥義、出す1秒前?みたいな真剣に頑張ってる殉ちゃんだったけど、無かった、どこにも。

世界大会、ドイツ編の巻、前は女体化スコルピオンの扉がついてたのに今は消されてる。しかも色刷りだったという笑。

ディテール的には、
剣崎はニューヨークのハイスクールに留学。となってたのが、ちゃんとジュニアハイに訂正してあった。てかシャフトもハイスクールチャンプだったけどジュニアになってた。ってことはシャフトは日本で言う小6〜中2の年齢?剣崎が中2なので合わせたと思われ。てかドストライクで夏休みだけど剣崎の留学やってないよ学校キャンプ参加?今風のサマースクールで短期の語学留学+スポーツ+リーダーシップ学習で現地生徒も参加、なんてコース良いかもしれない。
剣崎がロスって言ってるのにアメリカ人はちゃんとロサンゼルスかLAと言ってる、なんて演出は前のほうが、やたらリアルで細かかったのに、そこは逆になってるよ!…いや別にいいけど。

シャフトは最初、六本木のディスコで遊んでて、数週間前から日本に来てる設定だったけど、そこはなくなってた。中2で何やってんの?って感じだけど。てか、シャフトって、剣崎をこの世から抹殺した、と言ってたのに、そのページも無かった。アレ、衝撃シーンつけてみたけど、引っ張れなかったのでやめた、って感じ?てかそんなのいっぱいありすぎて今更感しかないんですが苦笑。

2でいきなり総帥が鬼面でも、背後に雷神しょってても、ええ?何これ?と思ったけど。またか、みたいな。だいたい最初、影道さん家は月島から歩いて行ける場所にあると思ってたら富士樹海が出てくる、えええー?!何これぇ?!だらけな世界。


石松の変態趣味シーンは全部なかったけど面白かったのにインパクトあって。男性選手のトランクス脱がせてコレクションしてるのとか笑。

石松の、女の太ももむっちり大好きエロシーンとか剣崎がディスコでどっかの女と待ち合わせ?なセリフカットは、…女性に対して最初から誠実でした設定に後から書き換えよう意図を感じる笑。

河井くんが最初の頃、女の子にもらった花束を投げ捨てるシーンは、「男に花束など似合わない」だったのが、「この花はぼくに似合わない」コレは…高嶺くんたちと出会うことで、一輪の花より一筋の血や汗を尊ぶほうが真に男らしい!ってのを学びました、っていう後々の話と矛盾するから。最初はただ性格悪いだけ、って方向に書き直したと思われ。

花を愛でたり、香水つけてる男が女にモテるのは憎たらしい!アレは男らしくない!ってのは車田の当時の持論だけど。「石松風に言えばオカマのざれごと」と河井が代弁してたのが、河井が自分の言葉で言ったことになっていた。もっとも2ではコロンの香りは最上の男をイメージする、猛々しいだけではいけない一輪の花にも感動する心を忘れてはいけない、に変化してる笑。

あと菊姉のエロ画がだいたい無いのは…当時の読者サービスを大幅カット?高嶺姉弟の妖しいシーンも無かった。同級生に、あの二人デキてる変態だ!!とか言われてるとこ笑。昔のジャンプは女の裸とエロが非常に多かった。だから風呂で裸といえば必ず女って時代に、いきなりジーザスクライストをシャワーシーン全裸で登場させる車田が斬新だった…河井のお色気シーンは竹宮っぽいけど…ってかその後から急激にあの雑誌、男の筋肉やらミスターレディやら扱うようになっていった気がする。


その他、

あまりにも下品なセリフ消去。菊姉がセンズリこきの数え歌を新幹線内で歌って踊るシーンとか笑。あれはちょっと酷かったかもしれない。面白いけど。新幹線内での席奪いご乱行や当時の田舎者描写やら加奈ちゃんのばあやにキチガイ連発されてるけど、まあそう言われるかもしれんてシーン。

剣崎は、菊姉に短小野郎と罵倒されるチ○コ小さい的な笑。中学生女子が小学生男子に大声で怒鳴るセリフじゃないよな〜と今となっては思いますけど。やたら多かった。

菊姉の異常なテンションの高さは前半ストーリー牽引力だった気がする。でもほとんどカット。口汚くて下品なんだけど凄まじいパワーというか破壊力というか。スケ番あらしの主人公引きずってる感じというか下町3K男の戦闘まんまかよ雰囲気の。

当時はその勢い突出したキャラ性がリアル女性にもウケてたってか、でもわりと普通に賢くボクシング巧い女子になったかも改訂版。さすがに男の理想像に改竄しすぎかと思った、志那虎が2で彼女こそ本物の大和撫子と語ってるシーン笑。ま、でも後からまとめるならヒロインらしく、最初からこんな感じだけで表現しときたかったってことでしょうケド。

最初は竜児より菊姉が主人公みたいなマンガだったんで、リンかけって。菊姉の中には、作者自身がかなり強く入ってたと感じる。後半、そのポジションを石松が引き継ぎ、菊姉は作者の理想の女性像へと変化。たぶん。カットされた初期の菊姉はガニ股歩きで短気で喧嘩っ早い、人情家でお調子者なリアクションまで石松によく似てる。一番、削除、変更が多かったのは菊姉とロクさん。それに竜児。数巻分は無い。次は剣崎か。とくに前半が大幅カット。


ロクさんエピソードは、ボクサーネタがリアル系でカットしたいとこだったのかもしれないけど。色々、昔すぎるからかもしれないサブキャラとはいえ話には剣崎も出てるし。青森出身て設定だけど、無いよ、こんなの東北にも、もう、って話。あと正直、作者(まだ若いから当時)の世界観が偏ってる。剣崎の聖華学院も、山の手の進学校設定だけど、違うだろコレ何か別の世界だよね?という、車田の、金持ちとエリートはもれなく下衆で下品で卑劣な悪党だから全員ボコボコにされて死ねばいいって呪いみたいのこもってる苦笑。最初のターゲット客層がそうだったのかなぁ?と思うとやや悲しいけど。20世紀初頭の共産党員かナチスみたい。まぁあと靖国神社に土下座も今は政治的に面倒になりそうなシーンだろうし。ま…これ全部、消して良かったと思いますよ…エンタメなんだし…という汗。


殉ちゃんは…削られてるセリフは概ね無かった少し変わってるけど。初対面で「高嶺くんとかいう男はきみか」と言ってたのが「高嶺くんという男はきみか」に直してあるって細かいんだけど、とか、だと、すごく相手ナメてる印象。相手にしてない、よく知らない、みたいな。でも技真似てるんだから、知らないはないだろっていう。主人公だしね〜アニメはさらに竜児に花持たせる演出になってましたが、主人公らしく変えたなと。(でもあのアニメ演出、二人とも対等に意地張って、どっちもすべて棄てる覚悟の必死感で、アレはアレで可愛かった)

あと表情の描き直し……戦闘中の傷と汗も増えていた…総帥、すごく苦しそう。もっと軽い感じだったのに。わりと苦労して勝って、怪我も重症の表現に変わってた。
総帥、いつも楽に勝つか、もしくは自分から勝てるはずの試合を譲る演出だったんで。強さ調整?

2で日本ジュニアは全員同程度とするために、後付け設定増えてましたが。当時は、石松<志那虎<河井<…総帥<高嶺<剣崎、の強さかな演出的に。もっとも高嶺は主人公なので、何が何でも格上にも勝つから不明。最初は多分、河井よりも弱いし、総帥もわざと負けてくれた。パンチ、打てるのに打たないのと、打ちたくとも打てない表現は、意味逆になる。でも志那虎は左手しか使えない設定なので、それはそれでスゴイし。主人公サイドは、いつも圧倒的に不利で弱くても、何かよくわからない一発逆転で勝てるので、強さ比較も不明でいいのかも苦笑。2だと説明がもう少し詳しくなっていた、勝つ理由が。
昔、どっちのパンチが強いとか、どれとどれが同等とか、よくファン同士で盛り上がってましたけど笑。

殉ちゃんの顔、結構、一重まぶたが二重になってたり。元々二重だけど書き忘れてたところを追加…カットは1ヵ所だけかも、あと扉絵のやつ…ま、元々少ない出番だし。

ピンクレディのミイちゃんケイちゃんと山口百恵どっち可愛いかってか、オ○ンコがどうとか。それはちょっとネ〜っていう。人権もあるし。ネタ古いし。

三条家が児童就労させてる違法っぷりとか。高嶺姉弟が泥棒や人さらいに遭うとか。住環境最悪なテリブル東京!東京ってこんなに怖い!みたいな。ああいうのって当時、田舎から上京する一般イメージだった気が。昔の東京、確かに汚かったですけど町の見た目。家出人の小中学生捕まえて香港や台湾に売るって、今もある所にはあるのかもしれませんが。

辻本の虐待されてるシーンの貧困っぷりも、かなりカットされていた。終戦すぐだとそんな子供たち結構いましたが。ってあたりが大幅カット。児童虐待系とか。あと高嶺の継父虐待シーン色々。妻を、子供を、子供が親を。とか。虐待の酷さはむしろ現代に近い気もしますが。昔のは単純に貧乏だから。っての強いですよね。
貧困子だくさん、父親は子供を売春や当たり屋で稼がせて酒びたり。酷いと身よりの無い子をもらってきて売春宿に売り飛ばし家族が食うなんて東北の田舎にも、よくありました自分の親世代だと。今なら即、逮捕。メディアに載りますけど。

やっぱでも古いんだよな、我々の世代には、すでに無いよソレっていう残酷な貧困話がてんこ盛り。たいがい消してありますけど、今の版は。

あと、ボクシングのうんちく豆知識コーナー、幕末一口メモ、エッセイスト等の一言が無い、かなり。てか高嶺の試合って、ほとんど、プロの、現実のタイトルマッチが元ネタになっていて。その試合やルールやボクシングの歴史を事細かく実名入りで説明してあった。いかにボクサーが世界チャンピオンになっても食えないかとか。怪我したり死んだりしたら、たとえ世界一でも、人生では負け組って漫画でした。いつから、ああなった、って。多分チャンピオンカーニバルのあたりから。でもあそこから面白くなるんだよなーっていう苦笑。

あとは…当時の流行語の削除。黒夜叉は色男じゃなくて男女の観客からマブイ〜と言われてた。でもマブイは若くてエロ可愛い女性に男が言うコトバ。男が男には使わない。そういうリベラルな斬新さが面白かったんだけどな〜今読むとかなり保守漫画だった…けど、そう言って黒夜叉に頬染めてるのは、車田が自画像でよく使ってたクチビル男。笑。

あと絵の変更で、気づいたのは、ビーナスの足のカット。美形設定なのに短かすぎる!と当時、言われてましたが、だから、これ、俯瞰で見る絵だよね?とか。その割に、顔が正面なんだけどね、とか。いや煽りじゃね?いや煽りだったら、足長く描くんじゃね?とか散々言われてたとこが、切ってあったよ…!!だいたい、デジタル版は、コミックで見切れてるシーンが、すべて、縁まで全部、見えてるのに…トーンの歪みもまっすぐにしてまで余計に見せてあるのに、短くなってる、そこだけ笑。

ま、でも、とにかく竜児VS剣崎+ファンタジックスーパーブローの戦いと幕末ネタ、を中心に構成し直した感じ。

初期はルールにのっとった普通のボクシング漫画、貧困と有名、大金ゲットの夢がテーマ、低学歴貧困層の主人公姉弟が英雄で、クズな美形金持ちエリートくたばれの、車田色に染まってた。そして川に使い捨てたコンドーム落ちてるリアル漫画だった。一言で言えば泥くさい。我々の世代でもちょっと〜と引くけど、当時のもっと上の世代には切実で良かったのかもしれない。

ただリンかけ大化けしたの、ファンタジー路線に切り替えてからで。それまでもそこそこ人気ありましたけど。そこそこだった。テニプリと逆かも?…時代のノリってか流行ありますね。ま、対抗馬にリアル系ボクシング漫画、有名なの色々ありましたし。かえって独特な個性やインパクト出て大当たりかと。本人言ってるように、エンタメ的に等身大にしないほうが面白いってやつ。リアル系に対してリンかけは後半、「SFボクシング」と言われる地位に笑。

今はまた漫画でリアルに近づける、っての流行ってる気がする。不況になると、リアルや残虐系や暗い話ウケる気が。でも昔の泥臭い、貧困ハングリーや絶望的惨めさや怖さって感じじゃなくて。あくまで今風。やっぱりインテリ系で豊かな感じします。

そういえば、車田センセイどっかで書いてた。剣崎は幕末ネタだと土方かなぁって。でもあのキャラよくわかんねえやオレ、とも言っていた。苦笑。


コミックのカバー口絵と後記

見返しに作者近影と、作者短文が載っている。巻末コメントは、前半、当時のボクシング世界チャンピオンたちから竜児へのエールコメント。後半は本宮ひろしや鳥山明、秋本治、ちばてつや諸氏のコメントと写真。これが結構…読ませるものがありまして。

しかし今見ると、写真のあまりの若さに、ええ〜っとなる。みんな若い。まだお兄ちゃん。鳥山は剣崎みたいなかっこいいキャラ描きたいけど描けなくて。って…あの後、ベジータとか悟空さんとかピッコロさんとか、描いたじゃないですか!っていう。創作屋どうしの悩みとかエールとか車田の人柄を個人的に見た場合、みたいな話が満載でかなり面白い。

車田のコメントは、自分の怒りとか飢えの話が載っていて。オカマ罵倒発言多すぎなのも、父親がとび職で、そういうのが男らしいんだ、漫画家なんてオカマの職業だ、父親に部屋閉じこもって漫画ばっかり描きやがって!!と怒鳴られて、それでも漫画家やりたくて。みたいな?

いつもオカマ野郎!!って罵倒するセリフ。男とか女とかオカマとかホントこの人、こだわってるよな。と思ったけど、自分自身の葛藤があったからだろうな…っていう。ま、今のコミックだとそのオカマ罵倒が無いんですけど。軟弱野郎!と書き換えてある。またはデリート。

で。影道の巻のとこが、子供の頃、死んでしまった弟がいた。って話を書いていて。だから兄弟いる子が羨ましくて。って。いつも兄弟愛が凄惨またはユートピアなのも、兄弟がだいたい何かの事情で一緒に暮らせないのも、そこからきてるんだろうなぁ…と。リンかけだけじゃなく、いつも必ずそういう兄弟でてくるのは、そういう事情なんだろう。みたいな作者の内面がわかるコメント集。

オレは血統を信じないんだ、とか。貧乏すぎて本も買えなかった子供時代とか。暴力で何でも解決する男の性は今だって続いてるとか。金も学もない男が世間見返すには力だ!みたいな。こんなこと言ってると女にゃモテねえが、これがオレの考える男らしさだ!とか。う〜ん、こういう人だから、こういう話になるんだろうな、と思わせる。血統信じないわりにはリンかけモロ血統話で本音の裏返しでしょうが。暴力以外の優しさにもかなりこだわるくせに、そういう反動も含め作者の重大こだわりポイントが見える。

これが成功した後、ビートエックスのあたりになると、なんかもう飢えも怒りもなくなって何描いたらいいのかわからない、とか言い出したりして。でもビートエックス、好きですけど個人的には。面白さって点ではすごく細かくアイディア悩んでるよなぁ…と思いますが。あと金持ちや学歴エリートや女にモテる男に対する逆ギレ憎悪が消失している苦笑。自分も大成功してお金持ち、女の子ファンにモテモテになってみたら、そんなに悪じゃなかったよ、ってことだと思うけど汗。価値観バランス取れて全体に洗練されてきて良いじゃないですかって思いますけど。

リンかけの阿修羅編、ものすごく苦労して挫折感あった、って書いてますが。アレだけ純粋に友情話で、多分、車田の貧困と金持ちへの怨みやらヤクザ屋さん的な話が入ってないから?と。(力でイイ女ゲットしてやるぜ!とかね笑。なんか大金持ちになって上等な金髪女とセックスしてみたいとか、イカした新車持ちたいとか、そういうの苦笑。昭和男の夢かなぁ…中間層くらいの。
でも、かつ丼食えなかった話、好きですよ?今はいつでも買えるから、死ぬほど食いてえ奴がいたら、ごちそうしてやるぜ!って。そういうの、前世代の健全な夢だったよなぁ…と何か懐かしい。イイ人だなぁとその時も思った)

自分の内面から出てくる話じゃなくて、あそこから多分、職人芸的な作話になったノリ。でもそうじゃないと長く描けないし。ま、その前から、自分の体験だけじゃ続かないので他人のエッセイだいぶ参考にって。漫画家として長くやってけるスタイルに化けるのに良かったじゃないですかという試練クリアな道程。

でもな。他の漫画家が書いてるけど。車田さん当時で高卒でしょ?しかも勉強もしないで学校もロクに行かず遊び歩いて女泣かせてドス持って喧嘩ばっかりしてって。どこまでホントか知りませんけど。親にお金出してもらってるんじゃないの?自分で働いて必死に学校行ってる感ゼロだよね?それで学歴エリートや金持ち罵倒する資格あるの?どの階層のエリートも死ぬ気で頑張って必死だよ?まして本も買えないド貧困で親が苦労してる状態でソレなの?田舎者や山の手に対する偏見スゴイし。東京生まれ東京育ちのくせに歪みハンパないんですけど何で?ってゴメン突っ込んでもいいかな笑。

相当、自意識過剰男なんじゃないかと思ってる。財閥のボンボン見て、オレだって!と虚勢で嘘ついたりする見栄っ張りタイプ。ハッタリ好きで嘘つきだって秋本治にも言われてる。でも、それで作家的に成功してんだろうとも思ってる。車田の敵キャラ美少年が次々と生まれてくるのはナゼなのか?!っての他の漫画家たちが考察してくれてるけど。嫉妬じゃんただの、って、でも当時のファンにもバレてたと思う。


男坂への思い入れと、その失敗も、全3巻に短いですが、しっかり書いてある。まぁ男坂、べつにいつもの車田?て感じですが。しかも少年漫画的には、わりと王道で。今風にものすごく上手に描ければ、多分、コードギアスの1みたいな感じになるのでは?と。

見た目の小道具、古いのがマイナスかなと。学ラン木刀、番長、関東連合は、ちょっと。当時でも古すぎる。伊賀の影丸と本宮マンガ合わせたみたいな見映えも。あとキャラの性格が、だんだん薄くなる。成長して大人っぽくなり感情的じゃなくなるから、ってことなんでしょうが。インパクト薄くなってく感じだった連載読んでる時は。風小次もそうで性格描き込むの元々苦手なんでしょうけど。

アイディア勝負っての、ありますけどね〜。星矢は本人、気に入らないかもしれないけど、やっぱり爆発的に売れる要素はそろってる。地味じゃない、洒落たデザイン、新しい感じがする、少なくとも見た目。しかも連載は長期戦だから。テンション持続も難しいし。リンかけは唯一の例外で、他は、最初はいいのにだんだん途中から人気なくなる、とファンにも当時、言われてた。

もっとも男坂も今の時代のほうが合うかもしれない。コンセプト的には。変に偏ったナショナリズム系子供たちが群がるとまずいかなと多少、老婆心には思いますが。

そういえば、リンかけ2の構想は1の終了時にはすでにあって、やりたいって書いてあった当時のジャンプ増刊号に。ジュニアブームに乗ったわけじゃねえ!オレは!!あくまで今しか描けないことを描いてるの!!って2の見返しでどうしても言いたかった気持ちは、わからなくもない。常に新しい作品を追及したいとか。

いや、年齢にしたがって、変わってると思いますけど。価値観とかね。かなり。環境の変化も大きいでしょうし、いちいち反映してるのは見える。

いつまで経っても話作るの苦手って、七転八倒しながら描いてる様子もよくわかる。ま、売れても売れなくとも地獄って、よく言いますが。それでもマンガって武器がオレにはあって良かった、って、ソレ、成功した漫画家はだいたいそう言いますね。


パチスロのリンかけとかCDとか

かなり後から動画サイトで見ました苦笑。だってパチンコ屋入ったことないし。いくらリンかけのためでも無理、でも見たいなと。

総帥、出るの?ってのが最大のギモン。でも、いた。しかも最終戦でゼウスと戦うとき高嶺のセコンドみたいなことしてて斬新だった。でもアレそのプレーヤーさんがたまたまなんですかね?てかパチスロが一体何なのか実はよく知らなかった。なんかすごいうるさい、オトナ用の光る玩具みたいな。何やってんのか意味不明。と思ってたんですが、5分くらい我慢して見てたら、どうやら確率入ったゲームらしいと判明。

普通のバトルゲームに、スロットついてる感じ?勝つとロープレみたいにストーリー進んでいくけど確率入るんで、やっぱり賭博の一種なんだろうな(という程度の認識。いや自分、ゲーセンすら入ったことないので汗)

総帥は多分、影道の塔の鳳凰の間にいて、レベル上げのポイント地点に違いない。みたいな。なんかよくわかんないけど、流れてくるコメントが面白かったので最後まで見てしまった初のパチスロ。笑。面白かったですよ、コメントが。皆、いい歳だからどうせ。あらゆる趣味やジャンルの人たちが言いたい放題。でも他人の変わった性癖を誰も責めもしないという。車田の悪口言われて本気でキレる信者もいないしな苦笑。あーハイわかります、そう言いたいの。って。そんな感じ。

竜児VS総帥のとこ、バトルはともかく影道の塔の中が立体的なアングルで色々見れて、こんな角度で見たことないからな〜と、ちょっと面白かったかも?「待っていたぞ高嶺竜児!!」「お前は?!」ってアレ12神戦で、鳳凰の間で初対面、初バトル設定なのかな。よくわからないんですが、12神も12人いない、総帥も戦わないクレウサともビーナスとも、てか二人ともいないよね。日本ジュニアだけバトルする設定のようだった終始。あと女子キャラサービスやたら多かった、パチスロ客層サービス?でしょうね?菊姉いっぱい出てくるとか。でもそんなにエロくなかったな笑。

キャラ絵はアニメよりパチスロのほうが綺麗だった。せめてあの絵でやって欲しかった。と思ったんですけど、荒木&姫野って一体いつ頃まで本人たち仕事してたんですか?てかポセイドンとかメデゥーサとかナルシサスが動いて話してるとこ見て、地味に感動した笑。懐かしいな〜ってかコレ、アニメで見たかったな、昔、あの当時ね。っていう。なんか悔しいような苦笑。ペガサスだけ一瞬、誰だかわかんなかった。あとゼウスも、え?こんなんだっけ?…って何で思ったんだろ汗。カイザーナックル、海に返してってシーン妙に綺麗で感動したけど。


アニメ影道編で流れてくるキャラソンもパチスロ由来だったんですね、という。最初、これはないわ総帥歌わなくてよかったわと思ったにもかかわらず、買ってしまったCD笑。いまいち恥ずかしい車田節も置鮎や神谷に語られるとカッコイイ気がしてくる、いつのまにかクセになるメロディ。不思議。

でもアルバムだったら、昔のLPが好きだった。曲が。ただ最初に入る、必殺技名を叫ぶとこ、アレがね、当時はデリケートなお年頃だったんで。ちょっと無理で。そこだけ消してカセットテープに録音してからエンドレスで聴いてました。が、もうさすがにいいだろ何でも大丈夫だろ、と、わざわざ買い直したCD、久しぶりに聴いたら、最初のブーメランスクエアー!!で思いっきり吹いた。ごめんやっぱり笑う。アレ作った人たち、アレがカッコイイと思ってるんだろうけど。最初なかったのに後から思いついてシャウト入れましたって得意気にアニメ誌で語ってたスタッフ見て余計な真似をと思いました当時。笑。

今、聴いてもつい笑う。曲はカッコイイんだけどなぁ。小学生男子にはウケたんだろうか。周りは、スコルピオンの声おっさんすぎて無いわーとか、河井の声が嫌とか、最後の曲はむしろ剣崎っぽいとか、そんな反応でしたが。でもアレ、河井を神谷が、スコルピオンを緑川が演れば、イイかもしれないカッコイイかも?と思う自分は別に声優ファンじゃないんですけど声の演技プロと歌のプロは違うからな〜という。

ちなみに当時のLPレコードのライナーノーツは、剣崎、総帥、竜児でした表紙。総帥、曲ないのに!って皆言ってたけど、でも人気キャラだから出しとこうとか、そんなだろって。苦笑。

アニメ誌の人気投票も、敵キャラ人気高かった。黄金の日本ジュニアがってより、皆、お気に入りの美形キャラにそれぞれ勝手に走ってた感。読者のお便り欄も女ばっかり。って別に星矢だけじゃなくてリンかけの頃からです。全体に中高生の女子が多かったイメージ、とくに後半。同人屋も多かった。当時は結構、ファンクラブ形式で、男性も女性も一緒に本出してることが多くて。やおい本もCPごちゃまぜ、とか。かなり雑然とした感じ。でも彼女らが相当、売り上げ支えてたと思います。

リンかけ2で、作者が二十年後に同人屋と同じネタを?!と思ったくらい、後日談も量産されました。総帥が死んだ兄の代わりに剣崎家を継いでる設定、多かったかなぁ?剣崎の息子は双子で、顔は剣崎と竜児にそっくり、ってのも当時の同人に既にありました。あとはもう好き勝手に皆、自分の推しキャラと好きCPを描き散らす。影道さんちは、貧乏ネタが多かった。服がボロボロだから。でも、彼等って、どうやって食ってんの?って皆、疑問でしたよね笑。部下がちまちまバイトして総帥を養ってたら可愛いね、総帥、働いてたり学校行ってたら面白いよねって。総帥は、自分で郵便局とか行くんですか?とか。一体あいつらの交通手段は何ですか?って、それ、多分、忍者みたいなことになってるらしいのが2でわかった笑。あの恰好で電車やバスに乗ってたら笑うよね!って昔よく言われてた。

そういや2で総帥が送ってきた小包、ゆうパック?綺麗な包み紙に包んである。そして中に新聞紙が突っ込んであるんですけど、新聞どこで手に入れるのか今も謎。笑。
最初のラストは、どうやら河井くんたちと一緒に教会までタクシー使った模様。…それならアリかなという苦笑。