前鬼


■腐れ縁で、小角と行動を共にする護法鬼神。

もちろん、役行者の伝承には必ず出てくるし、現実的には、都に住まず山で自活していた山民の一人で、山で修行をはじめた行者の弟子だったのであろう……なんて説明は、ここではしない。だって、この前鬼は鬼神なんだから(笑)

■そこで、伝承上の、前鬼と小角との出会い編を一つ紹介♪

一番カワイイのは、彼が、山で修行している小角のジャマをして、毎晩、庵に石を投げたため、アタマにきた小角が法力を使って捕らえてしまったという話。

小角が前鬼を捕まえてみると、髪が長くてボサボサで汚れていたため、最初は男か女かわからなかった。でも、洗ってきれいにしてみたら、これがなかなかの青年鬼神☆この時、前鬼はまだ二十歳(笑)彼は、すっかり小角になついてしまい、ついでに仲間の後鬼も一緒に連れてきて、それから長く、小角に仕えた。

前鬼と後鬼は、夫婦だったとも、兄弟だったともいわれる。もとの名は赤眼と黄口で、前鬼後鬼というのは、自分に仕えるようになってから小角が与えた名だともいう。

■しかし、ここでの赤眼は、黄口とともに毘沙門天に仕える高位の護法鬼神である。
密教世界の住人で、実は、彼らの本当の正体は別にあり、小角との出会いもあながち偶然ではないのだが………そのうち話が続けば、いきさつが出てくるかもしれない。