《本書の御利用方法》
この本の活用法はいろいろある。オーソドッ
クスなところでは、これから地中海方面に行く
方の参考文献となるであろうし、すでに行って
しまった方のためには、思い出の確認になるか
もしれない。もっとマニアになると俺はこんな
所へも行ってもっといろいろ知ってるのにこい
つ何にも知らねーんだなー・・などと思いながら
密かな優越感にひたるというテもある。また、
こんな間抜けな奴でも一人で海外に行けるん
だ・・という自信をつける材料にもなるだろう
し、海外旅行なんてお呼びじゃないという方に
は、ただ知り合いのバカ話としてお聞きいただ
くのもいいと思う。
もっとも、本来は一人旅をするジャパニーズ
ガールが誰しも遭遇する可能性のある話である
ので、そういう女の子が同じ目に会ってしまっ
た時にちょっと思い出して気合を入れる・・とい
うのがベストなのかもしれない。暗くなったら
その町で〃HOTEL〃の看板をさがし、いき
なりフロントにおしかけてはDo you have a room
for tonight?と叫ぶ。どこへ行くにも、何をする
にもその辺の通行人や店のおっさんオバさんお
姉さんお兄さんをつかまえてI want to〜・・what
should I do?と喚く。さらに付け加えるなら、着
いたその日にアテネでバイクに衝突し、午後に
は9階のホテルのベランダに閉じ込められてア
クロバットを決行し、ミコノスでは低血圧で
ぶっ倒れ群がる通行人の見守る中ぱんつ一枚で
逆さ釣りにされたあげく口にオレンジジュース
をぶち込まれたまま病院に担ぎこまれ、トルコ
においてはサギ師と露出狂に追い回されて、更
にエジプトではピラミッドの中でチカンに金を
ふんだくられる・・。良いことも悪いことも不安
も喜びも毎日これでもかこれでもかというほど
訪れて、旅の終わりには寝だめ食いだめ泥棒に
会っても軽いジョークでかわすことのできる体
と旅先で知り合った人達のいろんな国語の名刺
を抱えて帰ってくる。そういう人のためのガイ
ブックである。