次の日、

空コマで渋谷行って、

こいつの好きそうな

甘酸っぱい干し梅だの
半生で干した桃だの
クコの実だの…
ニワトコや、ほんのり甘い蓮の葉や
柔らかいジャスミンみてえな菩提樹のハーブティーだのを
大量に買ってきてやった。

すごく喜んでくれた。

そしたら、その晩は、

からあげと
焼肉と
きのこのクリームソースたっぷりのフィットチーネと
パンプキンのポタージュスープだった。

「マジで?お前、エスパーかよ?!」
つったら、
「たまには兄さんの食べたいものも、作ってあげないと不公平だろう?」

でも殉は
オレが食うのを、向かい側で頬杖ついて眺めてるだけだった。

「一緒に食えよ」
「じゃあ…少しだけ」

オレの皿から、箸でホントにちょっとだけつまんで口にした。

「ん、美味しい」
「…じゃあ何でお前、……元々ああいうのが、好きなのか?」

ちょっと首かしげた。

「多分…。でも健康食だし。そしたらもっと長生きして、兄さんと長く一緒にいられるかなって…?」

薬飲みたがらねえのも
飲まねえほうが体にいいと思ってるからだ、
って…

そっか…。
お前なりに頑張ってくれてんのか…

そう思ったら何だか
また泣きそうだった、
オレのほうが。

「泣かなくていいのに」

殉が、
笑って手の甲で
オレの頬を、
軽く拭ってくれた。

「これでイーブンなんだから」

そうだよな…

even up on、か…
break even、か…

scales are even、か…
score is even、か…

って…オレも…
思いたくねえけど、
無理やり、

思った。

涙拭ってくれる殉の手は、
温かくてとても優しいのに…

同じくらい…

残酷だなァって


感じながら。





◇to be continued◇