薄暗い魔界のBarの 中…………
……………あれ?……カウンターのスミに、ちょっと場違いな二人が来ているようです……
もしかして、お忍びでしょうか?
ヒソヒソと何か話しているようですが………
信じられませんよ。イオス様………。あなたともあろうお方が……
こんな所に来たがるなんて……
まあ、いいじゃありませんか。たまには天界を降りてみるのも……。
それより、シェキル……。何故あなたまで、ついてきたのです?
シェキル:何故ですって?!こんな、野蛮で下等で物騒な所に、あなたお一人で行かせるわけには参りません!!
もし、その辺にいる悪魔たちに、私達の正体がバレたら……いったいどうなるか……
イオス:大丈夫ですよ。背中には黒い羽をつけましたし、天使の気配も消してあります。
私たちを見抜けるとしたら、よほどの上級悪魔でしょう……
シェキル:……………。……………それにもし……神がこの事をご存じだとしたら……
イオス:そうですね。私は罰せられるかもしれませんね……。
シェキル:………イオス様……!!
イオス:シェキル……。あなたも、そんなに心配ばかりしていないで、せっかくの魔界を楽しんだらどうですか?
こんなキツイ酒は天界には、ありませんし、魔界には何があるのか……悪魔は日頃、どんな生活をしているか?
知りたいとは思いませんか?
シェキル:こんな汚らわしい連中の事など……私は……
イオス:そうとばかりは限りませんよ。……面白い出会いがあるかもしれません。
天使や人間に、様々な者がいるように、悪魔も色々でしょう。
たとえば………ソードのように………
シェキル:イオス様?……何を笑っておられるのです?
イオス:いえ。………この辺でブラブラしていたら、もしかするとソードに会えるかもしれませんよ?
シェキル:やはり……最初から、そういうおつもりで…………?
イオス:おや。知って、ついてきたのだとばかり思っていましたよ。
シェキル:………………。とにかく、私がお供いたします。あなたが、無事天界にお帰りになるまで。
…………そして………もとのイオス様に戻ってくださるまで!!
イオス:私は、どこも変わってやしませんよ。いや……やはり、変わったでしょうか?
彼に出会ってから……………。そうですね。私は…たぶん……神だけを信じていた以前の私より……
……………もっと優しくなりました………。